Japan昔話
第4話 EC地蔵
第4話 EC地蔵
年も終わろうとしている雪の降る日、おじいさんは銀行の残高を見て、ジトッとしたため息をつきました。(昨日のスロットで勝てていれば…まさか、あと1000円しか無いなんて。)
-どうしたんですか、おじいさん。
おばあさんが心配そうにたずねましたが、おじいさんはやんわり苦笑いでウヤムヤにしました。
小学生にも負けそうな残高では、おばあさんと年を越せそうにありません。むしろ、おばあさんからバイトを勧められるでしょう。定年退職した後はヒマをしたいので、また働くのは大変億劫です。
-そうだ、傘を売って足しにしよう。
おじいさんは一発逆転プランとして、傘を売る事を考えました。意外とアッサリ傘を作りあげた彼は、街へ売りに出掛ける事にしました。
おばあさんからは「どこへ?」と聞かれましたが、苦笑いで体良くスルーしました。
街に出たおじいさんは、ナンパテクニックよろしく奇抜な原宿系の若い子にばかり傘を売ろうとしました。たまにカップルに当たり、彼氏とトラブルになりつつも体当たり営業を続けましたが、全く売れません。頭に被る傘のファッションは受け入れられない世の中に気づくのがおそ、、、
おじいさんは絶望しました。
「やっぱりECにすれば良かったかなぁ」
おじいさんはあとはヤフオクとかもいいかなと思い、自宅に帰ることにしました。
帰り途中、普段なら絶対に立ち寄らない寺に売れるように祈願をしに行こうと、立ち寄りました。
ネットで確認した通りのお参りをし、最後に地蔵に傘を被せました。これが売りたいやつですと、神に知ってもらう為に。
家に着き、サクサクとECの商品登録をしてネットでニュースを見ようとすると、先ほどの地蔵がニュースになっていました。誰かが気になるニュースとして、傘を被せた地蔵をネットに上げた様です。今どき見ないスタイルすぎて、年末のヒマな若者にちょっとしたネタを提供したみたいな展開になっていました。
コメントからは、「今どきww」や、「ほっこりするわー」など、割と荒れてない印象でした。おじいさんは「ここで買えるみたい」と、流れに乗っかる形で、先ほど立ち上げたショップのURLをコメントに貼り付けました。すると、一気にショップの閲覧数がバズりはじめ、ちょろちょろっと注文が入り始めるではないですか。おじいさんはあまりの口コミ効果にコーヒーを吹きました。
-もしかしたら、地蔵が助けてくれたのかも
そもそも金が無い原因がクズな理由でしたが、神は見捨て無かった様です。こうしておじいさんは、当面の当てを手にすることになったのでした。
-どうしたんですか、おじいさん。
おばあさんが、あくせく動くおじいさんに心配そうにたずねました。
おじいさんはやんわり鉄板の苦笑いでウヤムヤにしつつ、ちょっとこれから忙しくなるんだと一言告げると、おじいさんはダンボールを買いに出掛けたのでした。
おばあさんは、活き活きしたおじいさんを笑顔で送り、用意していたタウンワークをそっとしまったのでした。
