Japan昔話
ここでは昔話にあたらしさとあどけなさと、少しの笑いを込めた、肩の力が抜けるお話たちを紹介します。
第1話 泣いていい赤鬼
ああ…友達欲しいなぁ。
赤鬼君は、いつもこうtwitterでつぶやいていました。こんなネガティブな子はフォロワーが伸びるはずがありません。
そんなある日、唯一のリア友である、青鬼君が彼の家を訪ねました。
「なあ、ちょっとファミレスいかね?」
青鬼君は、そういっていつものガストに赤鬼君を連れて行きました、今日は話すことが無くなったらどんなミニゲームをして暇を潰すのでしょう。
ガストに着いた2人はドリンクバーと、山盛りポテトをとりあえず頼みました、ドリンクバーを汲んでくるのは勿論赤鬼君です、青鬼君は無言です。
「最近面白いことあった?」
青鬼君は傷つくスレスレの質問を投げかけました、赤鬼君の人生に面白いことはひとつもありません。ただ働いて、ビジネス上の付き合いの人達と、ただ満員電車に揺られてヘトヘトに帰り、晩酌して寝るだけです。
「いや…無いなぁ」
「だろうね」
間髪入れずに青鬼君は言い放ちました、じゃあ聞くなよと険悪なムードが流れています。
「友達作り手伝おうか?」
青鬼君の発言に赤鬼君の心は乱れに乱れました、願っても無い助け舟なのですが、ものすごい上目線の会話に素直に「うん」と言いづらいのです。
「いくら出すよ?」
「え?お金とるの?」
「当たり前じゃん、宗教法人だってお布施と称して 金をむしりとるんだぜ、ありがたいお札とか」
ちょっと的を得ている発言に赤鬼君は妙に納得できました、同時に優しさだけでは食べていけない世の中を悟りました。とりあえず、友達1人につき1万円で引き受けてもらうことにしました。
とりあえず3人欲しい、と思った赤鬼君は3万渡しました。ファミレスを出た2人はとりあえず別れました、俺に任せておけ、その言葉を信じて。
あれから1週間経ちましたが、青鬼君からまったく連絡がきませんでした。不安と焦りと多少の被害妄想に駆られた赤鬼君は青鬼君に電話をかけました。
留守電でした。
掛けた時間がまずかったかなぁ、赤鬼君はピュアな気持ちになろうと言い聞かせ、タイミングのせいにして、メールに手段を切り替えました。
2日後にメールが返ってきました。
「俺も色々と友達にあたってみたんだけど、誰もお前と仲良くなりたくないってさ! いちおう頑張ったから!」
まぁ、間違い無くこのボケ動いてねーだろうな。そう思い赤鬼君はノンアポで青鬼君の家に向かいました。
青鬼君の家の前に着くと、2階の彼の部屋に明かりが灯っていました、ヤツはいる。そう自信から確信に変わって、窓越しから奇襲しようと鬼の金棒を背中に挿し、壁を登りました。
引っかかりが余り無いコンクリの家で、思う様に登れませんでした。仕方なく玄関からそっと入ろうとしていた時、後ろから何者かに羽交い絞めにされました。
「誰だ!?」
セコムでした。
赤鬼君はその場で取り押さえられ、警察に連行されました。青鬼君の家には監視カメラがあり、玄関にはセコムのステッカーが貼ってあった事をいつもうつむいている赤鬼君が気づくはずがありませんでした。
赤鬼君は署に向かうパトカーの中で、泣きました。
隣りに座っていた警官がそれを察知し、優しく問いかけました。
「生きていれば良いこともある、まだ若いんだから頑張れ」
どや顔with上目線で言われたのに、赤鬼君は言い返す気力も無く、ただただ自分の不幸を噛み締め泣き崩れました。
泣き崩れた姿を見た警官はますます良い事言った風な、どや顔になりました。
金棒を持っていた彼が、見た目不利な条件で取調べを受け、結果は住居侵入罪となりました。強盗じゃないだけマシだと、彼は弁解する気力も失せていました。
赤鬼君は友人作りは自分できっかけを作るものだ、そう思い気持ちを落ち着けながら留置所で泣きました。
