ふわふわ浮かぶよ

Japan昔話

第3話 往復ヘルツアー

第3話 往復ヘルツアー

今日もひと通り自身のお経のyoutubeを流し終えた覚源上人は、隠しておいたとびきりの饅頭を食べながらアンニュイなひと時を過ごしていました。

「…!!」

むさぼるように食べていた饅頭を喉に詰まらせた上人は、白目をむいてバタンとぶっ倒れました。

「なんだ!?」

驚いた弟子達が上人の部屋に入ると、上人が饅頭をくわえてぶっ倒れてました。弟子達はすかさずインスタグラムに上げた後、饅頭を取り除き、救護を試みました。しかし、上人は起きませんでした。でも、何故か身体が温かいままで、死んだ様には見えません。弟子達は有給を消化しつつ、半月ほど見守りました。

「おい」

弟子達が驚いて上人の方を見ると、なんと起き上がって、ガン飛ばしてくるじゃないですか。

「俺、地獄行ってきた」

は?って感じなんですけど、言うと怒るから、弟子達は黙ってやり過ごす事にしました。

「まあ、聞けよ。地獄ってまず、立派な門があんのな。歌舞伎町かよってくらいのビカビカ度合いでさ。」

「んで、門くぐるとエントランスならぬ閻魔ルームがあってさ、まあ、整理券もらって待ってた訳よ」

整理券?話が端折ってるし、詳しく聞いてみたいけどまだ黙ってます、我々。

「閻魔さんに会ったらさ、いきなりなんて言ったと思う?俺を呼んだのは死んだからじゃないってさ」

チッ…!(舌打)

「地獄って結構大変だよ、閻魔さんも皆の相手すんのダルいから、お前今からツアーで回すから、それ悪い奴に伝えてくんない?ってさ」

「んでさ、俺は地獄の1丁目からまあ最後まで見てきた訳よ、ありゃ半端無いわって思ったの、やべえのなんのって」

上人の説明がいまいちブサイクで、わかりづらいけど聞きます。

「地獄の辛さ、悪い奴に教える事を約束して、今帰ってきたんよ。メールとか溜まってそうだなぁ」

眠そうな上人はiPhoneをいじり始めました。

「おい!!テメーら!」

「は、はい!!?」

「誰だ!インスタに俺の画像上げた奴は!!!」

「や、やべぇ!!」

「てめーらに本当の地獄を見せてやる!!」

弟子達は、饅頭怖い。と思いながらダッシュで逃げました。

上人は、弟子達を地獄譲りのコンビネーションアーツで文字通りボコボコにしたのち、体力を使い果たし往生しました。地獄に落ちればいいのに、と断末魔をあげた弟子もいたとか。

かくして、上人は真面目に死にました。閻魔大王に再会して、フレンドリーに話しかけましたが、閻魔大王は少し間を置いて、怪訝そうに言い放ちました。

「何しに来たの?」

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